アニメ「夏雪ランデブー」感想(ネタバレ含む)
この作品を知ったきっかけは我部りえるさんというVtuberさんが同時視聴企画で紹介していた作品でした。
よほどのことがない限り恋愛ものは見ないのですが、偏食は良くないという最近の反省からdアニメストアで視聴しました。
普段いっき見はしないのですが、次の展開が気になりいっき見してしまいました。
ジャンルとしてはファンタジー恋愛系であり、現代日本を舞台に物語はある幽霊ととも奇妙な三角関係の恋愛模様を描いていました。
原作者:河内遥
監督:松尾衝
放送:フジテレビ「ノイタミナ」(2012年7-9月)
製作:動画工房
あらすじ
花屋でアルバイトをしている青年・葉月は店長の六花に恋心を抱いていた。しかし彼女は後家であり、三年前に病死した夫・篤がいた。幽霊ながら葉月の恋路を邪魔し、妨害行為を繰り返す篤との三角関係が始まる。(wikiより転載)
ネタバレあり感想
名作注意!!
まず、私はこの手の話に弱いです。
果たされなかった願い、亡き者に対する慈悲と憐み、残された者たちの未来と決断。
そういった要素がこの作品には詰まっていました。
私はあまり恋愛ものには興味が薄く、いわゆる男女関係のもつれなどに疎かったです。
一応恋愛をして結婚していますが、他者の恋愛を楽しむことはほとんどありませんでした。
しかし、この作品でそれは覆りました。
人々は好きという気持ちや愛とはどんな気持ちで揺れ動いていて、行動や決断に大きくかかわってくるのかというのをまざまざと見せつけられました。
特に幽霊である篤が体を乗っ取ることをほのめかす描写や、島尾六花が心中を覚悟するシーンなどは見ていてとても衝撃を受けましたね。
いなくなった存在(死や別れ)が生きている人に影響を与えることは往々にしてあるが、それは果たして幸せなのだろうか。この物語は幸せをつかむための話と私は受け取りました。
夏雪という単語は作中では夏雪草という植物として登場します。
花言葉は「幸福、才能、思いがけない出会い」
本作品を象徴する花であり、ランデブーの意味は「出会い」です。
夏に咲く花は雪のように真っ白で美しい様から名づけられ、その幻想的な様子は中身が死んだ篤に入れ替わった葉月として六花と出会うという印象的なシーンとマッチしており、非常に巧妙なタイトルだと感銘を受けました。
最後のシーンについて自分なりの解釈
篤は作中最後まで現世にとどまっていました。つまり、六花の幸せを見届けるというのは葉月が死ぬまで続いていたことになります。
しかし、家に縛られることはなく街を浮遊していたことから葉月に体を借りて六花との話すだけでは成仏しなかったのでしょう。
「六花が幸せでいる」とは、葉月に出会うまで篤にとって答えのない願望であり執着だったと考えられる。
葉月とのやり取りを経て六花の心変わりを認め、それこそが自分の願いでもあったということに完全ではないが納得するまでの重要な転換点だったと思う。
執着の強い霊は怨念となり呪いを与える存在になるといわれている。
もしかしたら、六花に対する行き過ぎた思いは葉月に出会わなければ六花に呪いを与えていたかもしれない。
そう考えると葉月という存在は六花だけでなく、篤にとっても「救い」になっている。
救いのない話ではなく、救いのある話であることが視聴後の後味の良くてすごく好きです。
孫とは初対面であることから、きっと長い間会っていなかったと想像できます。
思いに縛られなくなった幽霊は場所から解き放たれて、世界を巡っていたのかもしれませんね。生前の病床での六花とのやり取りに思いをはせながら。
最後に篤は天へ昇るように空高く浮遊する。
救いの象徴である葉月との再会を望んで成仏したのかもしれません。
製作関係について
ストーリーの構成やテンポはよく、各話があっという間に過ぎてしまう感覚を覚えました。
作品の雰囲気に騒がしいキャラがいないことや、登場人物たちの心情をセリフとしてあらわしていることから、余分な情報がなくストーリーに集中することができたのも大きいでしょう。
中村悠一の声も主人公である葉月亮介に合っていたし、時折見せる情熱的なセリフはさすがだなと感じました。
さりげない仕草や視線の外し方など、すごくリアルで映画作品のような臨場感を覚えました。
あとはとにかく花の描写が綺麗で驚きました。
自分は絵を書くのが苦手ですが、背景やもの書きの人は是非とも真似するといいと思いました。
エンディングのAimerの曲が良すぎて、初めて流れたとき泣いた。どうしてくれるんだ?
総評
夏雪ランデブーという作品は単純な恋愛アニメではなく、悲哀や影のある人生に希望に見出す美しくも儚い花のような作品だと思いました。
今回はVtuberの我部りえるさんの紹介ということで、知りましたがこのような作品をオススメできる感性にも素直にすごいなぁと思いました。
今後の同時視聴やオススメ作品にも注目したいですね。
(チャンネルでの夏雪ランデブーの同時視聴はメンバー限定配信で行われました)
参照
作品HP:河内遙『夏雪ランデブー』TVアニメ化!
アニメHP:アニメ「夏雪ランデブー」公式サイト
我部りえるyoutube channel:
終わり。